愛する家族を失ったその傷は、12年たった今もありありと存在し、この時期になると疼き悲しみを呼び覚ます。
特に、思い出に触れた時、回復した傷跡に触った時のように神経が傷つき無感覚になっている感じとも違う。むしろ、むき出しになった神経が空気にさらされ、大声で叫びたいような生々しさを伴い湧きおこる。
それは、今いる現実から飛び出したいような、また傷跡を何かに覆われることを待っているような複雑な感覚に囚われているようにも感じられる。
いづれにしても、自分の心を自由にするも、拘束するも自分自身の心の持ち方次第なのだと思う。