2012年4月にオープンした「森の図書館」。元々はギャラリーを作ろうと、庭の片隅で一つひとつ石を積み上げていました。
呼びかけで全国から集まった約4,000冊の本。談話室も兼ねた1階は写真集や画集が、子どもたちが好きな姿勢でのびのびと読めるようにカーペットの上にソファを置いた屋根裏空間の2階には絵本や児童書が並んでいます。
東日本大震災で大槌町は学校も図書館も本屋さんも流されてしまい、本を読む場所が無くなりました。そして、学校へ登下校の際目にする光景はガレキの山でした。子供にとって幼少期から育つ環境は非常に大切であり、このままでは将来に禍根を残すことにならないかと考えました。
また、子どもたちにとって一番安全で楽しいはずの学校や家が流されることは、何が大切で、何が大事なことなのか考えさせる機会になったと思います。物事の本質を知るためには感性を育み、ものごとを多方面から考えなければなりません。
建物があり、本があれば図書館だと言えるでしょう。しかし問題は「そこで何をするのか」ということではないでしょうか。
森の図書館は、本を外に持ち出し、芝生の上に寝転んで森のベンチで読むことも、ツリーハウスに持っていって読んでも構いません。「一歩外に出ると本の中の世界がそこにある」という環境づくり。そうすることで子どもたちが自ら学びとる姿勢を持つことが出来ます。花を育てる、小動物を飼う、森のコンサートで音楽を聴く、絵を観るなど、本物に触れることによって感性は磨かれていきます。