「宮沢賢治三陸旅の謎」朗読会開催

大槌宮沢賢治研究会では昨年11月、花巻市宮沢賢治イーハトーブ館にて、「宮沢賢治没後90年三陸海岸旅の謎」と題して、物語の朗読と旅の途中に詠んだ7編の詩の朗読会を催しました。   この三陸の旅は、賢治が花巻農学校教師を退職する前年の冬休みを利用した旅で非常に謎の多い旅であるとされ、多くの研究者が様々な説を発表していますが未だに不明な点も多い現状にあります。それまでの賢治は、文学者であり詩や童話、短歌や物語の創作者でした。しかし、それらは皆フィクションであり、作り話です。いわば虚構です。その虚構の創作者から、農業の実践者になる、一人の百姓になるという、賢治の人生の大転換を図る前の年の旅であり、自分と向き合い、自分の気持ちを確かめる旅でもあったと思われます。決して後世の人に謎を残す旅ではないのです。それは、賢治の周囲に対する思慮深い配慮、ち密な計画性を考慮するならばごく当たり前の行動であり、後世の人たちが謎と考えることを不思議に思っているのではないでしょうか。一度聞いてみたいものです。                       私は、文学者でも学術研究者でもありませんから難しいことは分かりません。皆さんと同じ市井の人間ですが、三陸の地元で暮らす者として、地元の者でなければ分からない知見を基に謎に迫ってみました。                       この検証は、あくまでも当時の賢治の気持ちに寄り添い、同じ方向を向いて行ったものであり、賢治の苦悩に共感できるからこそ適切な考察ができ、没後90年にして三陸の旅における賢治の普通の行動が明らかになったと考えています。               この朗読会が契機となり、花巻の地に賢治の人生大転換時に詠んだ「異途への出発」の詩碑建立の機運が高まり、実現されることを祈念するものです。今年は、5月26日PM1時30分から遠野市駅前内田書店2階にて開催いたします。どうぞ参加をよろしくお願い します。