なぜ遺族は「風の電話」を必要としているのか

愛する人を失う悲しみの深さは、当事者以外なかなか分からないものです。それは、亡くなるという結果だけでなく、一緒に生活してきたプロセス、時間の経過、歴史があるからです。例えば、私たちはスポーツ観戦で応援する選手やチームが勝利した結果で感動を受けます。しかし、実際戦った選手やコーチ・監督は結果だけでなく、そこに至るまでのプロセスを選手と一緒に体験しているだけに、我々一般観衆とは違うより大きな感動を受けているはずです。同じように、グリーフケアに当たる方の場合に当てはめて見るると、当事者の悲しみを理解しているつもりでも実際には、当事者の何十分の一程度なのだと理解しなければなりません。

大切な人を失うという喪失によるグリーフは、いかに周りの状況が変わったとしても、亡くなったという事実が変わらない限り消え去ることはありません。なぜなら、亡くなったという事実に対して、グリーフという状況を創り出しているのは自分自身であり、本人が状況をどのように受け止めているかによるからです。

従って、基本的には当事者の抱える問題として、その人自身が努力して克服しなければならないと考えています。

しかし、それに対応できない人も当然います。その人たちの為に精神科医、心療科、心療内科医や臨床心理士などの専門家がいます。更に異なる分野として、宗教家がいて心の癒し、救済を求める人達の支援をしています。

「風の電話」によるグリーフケアを考えてみた場合、心理療法家と言える人はいません。また、宗教家もいません。グリーフを抱えた当事者が自身の悲しみ、苦しみを電話に向き合い自問自答することで、グリーフの原因となっている事実を客観的に観察し、整理することにより受容を促し、「自己治癒力」を呼び覚まし、自ら意識の向け換えの”気づき”を得るサイコセラピー(自己心理療法)だと言えます。

なぜ愛する人を亡くした方は「風の電話」を必要とするのかを考えた場合、そこにはきわめて人間的な理由があります。「どうやって愛する人の死と折り合っていけばよいのか」また、「愛する人がいない現実を納得するにはどうしたら良いのか」     現実を受け入れる過程の中で「風の電話」必要なのです。突然いなくなったという現実を受け止められないのですから、なんとか「風の電話」で話をしょう、いなくなった人のことを「風の電話」で思い起こそうとするからです。            どうぞ「風の電話」で今は亡き人に話しかけてみてください、何かが変わります、


第3回「風の電話」によるグリーフケア 体験型セミナー開催

日 時:2025年4月27日 13:00~16:00
場 所:ベルガーディア鯨山 森の図書館
参加費:5000円(資料あり)
人 数:8名以内(セミナー終了後参加者の懇親会あり)

参加希望者は4月20日までにベルガーディア鯨山 佐々木までご連絡ください。
電話:0193-44-2544

大槌宮沢賢治研究会が朝日新聞に掲載されました

宮沢賢治の節目の旅から100年が経ち、大槌宮沢賢治研究会について取材を受けました。

取材記事は下記朝日新聞デジタル版でご覧いただけます。宮沢賢治と風の電話とのつながりにも触れております。ぜひご一読ください。

↓記事はこちら
朝日新聞:賢治、節目の旅から100年 研究会の佐々木さん「三陸を訪れて」

「風の電話」は独自で行うセラピー

私たちは病気や怪我をした場合、病院に行き医者の診察を受け治療や入院することになる。この場合、患者は早く元の身体になり以前の生活を取り戻したいという願望があり、医者の言うことを良く守り指示に従う。

一方、大切な人を失いグリーフを抱えた場合はどうだろうか。やはり、病気と同じように悲しみ、苦しみから解放されたいという欲求は当然起きてくるだろう。しかし、現実はどうだろうか。15年の「風の電話」活動から見えるところ、多くの方々が悲しみの感覚に不本意ながらも浸り続けているのではないだろうか。長い時間が過ぎ、やがてこのままではいけないと気づき、何とかこの苦しみから抜け出さなければと思うようになる場合が多いように思う。或いは、悲しみを抱えたまま孤立してうつ状態に陥る可能性もある。グリーフは怪我や病気と一緒で「心が傷ついた」状態です。しかし、薬や手術で治すことは出来ません。セラピストはいますが当事者自身が元の生命力に満ちた状態に戻りたいとという強い気持ちを持つことが大切になります。

心理学者の河合隼雄先生は「心の傷を治すのは医者ではなく当事者であって、医者にできることは当事者が自分で治すのを見守り、助けることだけだ」と語っています。心の傷の再生には、①当事者が安心し自分の感情を思いきり吐き出せる場(環境)があること。②当事者の再生への強い心の持つこと。③寄り添い見守り支える人がいることが必要です。「風の電話」はこれら三つの条件を備え、黒電話で自問自答を通じて本来持っている自己治癒力に”気づき”を得るという、セラピストのいない自分で行うセラピーです。

宮沢賢治が100年前の今日、人生の大転換の決意をした

皆さん、新年あけましておめでとうございます。今年も、どうぞ宜しくお願いいたします。

宮沢賢治は、100年前のちょうど今日(1925年1月5日)彼の人生の大転換を決意したと考えています。               それまでの彼は、法華経の「利他精神」を文学による布教を目指したフィクションの創作者でした。いわば、虚構、作り話、物語の作り手だったわけです。しかし、前年1924年に初めて自主出版した「春と修羅」「注文の多い料理店」が不評だったことから、賢治は「農民の幸せ」を願いながらも本当に百姓の気持ちを理解していないのではないかと自省します。又、農学校で生徒たちに学校で学んだ知識や技術を実際に生かすため、卒業したら百姓になることを勧めたが、現実には思う通りにはいかなかった。更に、生徒に「百姓をやれ」と進めながら、自分は教師という職業について安閑としていることに自己矛盾を感じるようにもなっていた。この様な様々な思いが交錯した結果として、賢治は教師を辞めて自ら一人の百姓になるという行動に踏み出すことになったのです。それが100年前の今日なのです。

人も、社会も、何時でも変わることが出来ます、変わらなければ停滞が起きます。停滞は、水の流れが示すようにいづれ腐ってしまいます。そうさせないためにも変わることが必要なのです。それも善く変わることです。悪く変わつては元も子もありません。そのためには、私たちが良く考えて行動することです。新年を迎えて改めて考えました。