9月初めから6日間連続して「風の電話」に通い続けた女性がいました。現在、ドイツから日本の大学に留学していて、母親をガンで亡くしたと語っていました。
その女性は、「風の電話」にくるたび毎回泣きました。多くの涙を流しました・・・。
「風の電話」は、多くの場合喪失や悲しみで心が苦しい状態の中、心の整理がつかない状態で訪れます。初めは言葉にしにくい感情を表に出すことが難しいと感じる人もいますが、訪れるたびに心が軽くなるのを実感し、自分のペースで癒しを受けることが出来ます。
受話器に向い言葉を話すことにより、内面の感情が整理・軽減され、「話せなかったことを伝えられた」という安堵感や開放感を得られます。
利用者は、「風の電話」が提供する亡くなった人との対話する場において、自分だけで抱え込んでいた「悲しみ」や「後悔」を安心して語ることで孤独感や心の痛みを和らげることができます。
「風の電話」体験を通じて「相手に伝えられなかった想いを伝える」ことで心の区切りや救済感を得られ、前向きな気持ちや生きる希望を取り戻す過程を促されます。
こうした心理変化は、グリーフケアの一形態として専門的にも注目されており、「風の電話」が心理的な負荷を軽減し、新たな精神的つながりを作るキッカケになることが多くの利用者から語られています。
このように「風の電話」は訪問者にとって、心の中の見えないつながりを可視化する場であり、心の癒しと再生のプロセスを促す重要な場となっています。