「風の電話」の線は何処にも繋がっていません。線が繋がっていないからこそ何処にでも繋がることができると考えることができます。 私たちは、亡くなった人とか天国に電話が繋がり話が出来るとはだれも思っていません。しかし、「風の電話」をかけ終わった人たちは、「何も聞こえないけれど相手に伝わっているようだ」「何も見えないけれど電話の向こうに相手を感じることが出来た」と話します。そうなのです「風の電話」は人間の持つ感性や想像力の世界の出来事なのだと理解することが出来ます。 縦、横、奥行きの三次元を超え、時間や空間を取り入れた四次元の世界、宮沢賢治の世界と重なります。始めは情緒的なファンタジーの世界ですが、そこから現実を考えることに引き戻され、大切な人を失う悲しみ、遺されることの意味、愛する人のいない人生をどのように生きるか等々を考えなければなりません。 何も聞こえない、何も見えないけれども相手と話せたように感じ、心が解放され癒されるなら、それは本当に話が出来たと同じ事になるのではないでしょうか。これは、免疫力による自然治癒力と同じであり、「風の電話」での自問自答がサイコセラピーに繋がると言うことなのだと考えます。