9月11日、午後10時45分その時が来た。
画面に映し出された「風の電話」は暗闇の中に幻想的に浮かび上がり、虫の音がより一層静けさを深めていた。
当日は、午後2時ごろに電源車、中継車、機材車、スタッフを乗せたタクシー等が次々に到着し17人のスタッフ達によってカメラ、照明機、音響装置などが設置されていった。
設置が終わると即、テストに入り何回も何回も繰り返し行われた。ようやくデレクターのOKが出て夕食の弁当を食べたのは8時を過ぎていました。食べ終わる間もなくスタッフ達はそれぞれの持ち場に戻り個々のテストをくりかえしています。本番に失敗したら次の仕事は確実に回ってこないでしょう、ですからスタッフ達の緊張がこちらにも伝わってきます。
音響効果担当の者は、電話ボックス後ろの暗闇でうずくまっています、蚊よけスプレーをかけていましたが何箇所か刺された事でしょう。
結論を急ぎ目に見えるもの、耳に聞こえるもののみに価値を置く世の中。目に見えないもの、耳に聞こえないものにこそ本当に大事なこと、大切なことが隠されていると言うことを改めて感じさせてくれた一日でした。
それにしても感動の余韻が残る古館さんの語りと「風の電話」ボックスの映像でした。会えなくなった方に、想いを風に乗せて伝える「風の電話」実用的ではないですが、大切な人を失った方にとっては心のインフラとして必要なものであると考えております。スタジオおよび、現場の関係者の皆さんご苦労様でしたそしてありがとうございました。