やまなし

「木ッ木の森」に1本のやまなしの木がある。昨年、子供達の森をつくるときに、のこぎりで三分の一ほど切られたところで気が付きストップをかけた。危なく切り倒されそうになった木である。

今年も五月に花を付け、九月には、5、6個実が付いているのを確認していた。しかし、先日の台風26号で全て落とされてしまった。

30数年前、仙人峠で拾ったやまなしを山葡萄などといっしょに瓶に入れていたら、発酵してブランデーのようなお酒ができていたことが脳裏をかすめめた・・・・・。

宮沢賢治の童話「やまなし」にも、お父さんカニが子供のカニにやまなしが川に落ちたのを見て言います。「待て待て、もう二日ばかり待つとねこいつは下へ沈んでくる、それからひとりでにおいしいお酒が出来るから。」・・・・・・しかし今は子供達の感性の育み云々言っている身、違法は出来ない。そこで未だ臭いもしていないけれど食べてみることにした。

直径6、5cm、形は立派だ。割った色も良い。いよいよかじってみた。長十朗のような食感、しかし、しかしだ全然おいしくな~いのだ。

熟した実でこそ食べても美味しいし、おいしいお酒も出来る。食べたら不味かったが、今年は九死に一生を得たやまなしの木が実を付けただけでも、「良くやったな」と褒めてあげなければならない。