岩手日報文化賞の受賞について

報告が大分遅くなりましたが去る11月3日、岩手日報社より各分野で活躍され、本県の発展に貢献された方々に岩手日報文化賞並びに体育賞を贈り、その功績をたたえるとし、ベルガ―ディア鯨山の活動が評価され文化賞社会部門を受賞しました。

「風の電話」という場については、深い悲しみの中にある方々が自分自身との心の対話によって混乱している思考を整理し、本来持っている自分の生命力を取り戻すため、自分が主体的に行動することを促して行くところであり、グリーフを抱えた人たちが独自で行うセラピーと言える。自分自身に語り掛けることは自己の発見であり、自己意識が言葉という形で現れることで断ち切られた思いをつなぐことができる。悲しみ、苦しみ絶望感から、つながることが出来るという希望の光を持つことが自らを納得させ、悲しみや苦しみから解放され、癒されると感じ意識の向け換えが出来るのではないだろうか。

また、被災地は今明るい未来像を求めており、明るい未来像は夢を見ることから始まります。将来のあるべき姿をしっかり思い描くには原動力となるものが必要であり、音楽を始めとする文化芸術活動にはその力があります。そして、それを届けることが大切であり、長期的な活動になることから将来を託す子どもを含めた音楽祭や読み聞かせ会、児童書を集めた「森の図書館」活動等が評価されたようです。

この度の受賞は支援してくれる皆さまを含めた活動に対するものだと思っています。よって、副賞の30万円は北海道 地震被災地に義援金として全額寄付いたしました。どうぞご了解して頂きたいと想います。

 

「風の電話」で鎮魂のジャズ演奏

 

昨日10月20日に大槌町「おしゃっち」で日系米国人ジャズミュージシャン AKIRA TANA&OTONOWAの東北・熊本応援コンサートがあった。終了後サプライズがあり、ベルガ―ディア鯨山の「風の電話」前で演奏をしたいということになった。夕方になり寒さが気になったが、米国からのメンバー10数名と、東京からのサポーター10名ほどが鯨山にやってきて、早速楽器のセッティング。ジャズ演奏が始まった。メンバーの童謡、民謡、歌謡曲などの日本のメロディーを骨太なアレンジのアメリカン・ジャズで演奏する独特のサウンドは日米で絶賛されている。

屋内と違い、響きはないものの音が鯨山の森に吸収され、自然に溶け込まれていくようだった。まさしく「風の電話」を訪れた方々、その電話の相手、亡くなられた人たちに届くかのように・・・・。

散歩途中の人も、犬も立ちより静かに聞き入っていた。そして、遠くでは鹿やキツネも鳴いていた。

 

「風の電話」活動に東北みらい賞受賞しました

去る9月30日、遠野市土淵遠野みらい創りカレッジに於いて、第7回東北みらい創り賞授賞式が行われた。

東日本大震災被災当初より被災地に根差して継続的に復興活動をされ、顕著な実績を上げられている個人・団体の中から、防災・教育・メディア・文化の4分野で活躍するところを受賞対象にしている。

この活動組織があることすら知らなかった私は、事務局から連絡を頂いた時には戸惑いがありました「実態が分からないのに受賞なんかして良いのだろうかと」しかし、その組織のコンセプト「それぞれの地域に根差した活動を実践する人たちを支えていくことが、人材育成の観点から極めて重要だと考えています」を拝見した時に、こうした考え方が個人で長期的に活動していく上で大切になってくると感動を覚えました。

それにしても、活動を長期にわたり継続していけるのも、「風の電話」を応援してくれる皆さんの協力・支援があって初めて実現できることと、改めて感謝申し上げます。

尚、当日の様子はIBC 岩手放送「第7回東北みらい賞」表彰式及び講演の映像がweb上に公開されています。下記URL です。是非ご覧ください。

https://www.ibc.co.jp/event/summer_school/movielist.php

 

 

 

「風の電話」ボックスが新しくなった

8月18日茨城県常総市の災害ボランティア団体「ピノキオクラブ」の中高生12人が松村代表に連れられベルガ―ディア鯨山にやってきました。また、子どもたちをサポートする大人のボランティア、製造メーカーの社長、副社長。支援者の方々総勢23人が集まり、新しい「風の電話」ボックス立上げを行いました。

これまでの経緯は既にブログでお知らせしていますが、3月28日に「風の電話」ボックス倒壊の危機を新聞報道されると、電話ボックスに関する情報が北海道から九州まで25件ほど集まりました。多くは木製ボックスの情報でした。今回は耐久性を考慮しアルミ製にしたい旨を話しお断りすることとなりました。「アルミ製ボックス」という情報もありましたが街角に見られる通常タイプのものでした。「風の電話」ボックスは現状の形が皆さまに定着していますのでこれも残念ながら断りするほかありませんでした。

皆様の後押しもあり、現タイプと同じものをアルミで作ろうと決心し、見積もりを取ったところ100万円を超えることがわかり、ブログで支援を呼びかけましたところ全国から募金が集まり始めました。その頃、千葉県の晶成産業(株)茅原社長より無料で提供したいと申し出がありましたが、「風の電話」は多くの方々の善意で作られることが相応しく、「製作はお願いするが製作費用も取っていただく」但し、募金がいくら集まるかわからないので不足分はご支援していただくという条件で制作を進めてきました。

そして、18日の新電話ボックスの立ち上げを迎えたのです。作業のポイントは大人のサポーターである渡辺工務店の渡辺大工さん、茅原社長が行い、ボックス運搬、ペンキ補修等はピノキオクラブの中高生が担当しました。昨今、生活体験の中から学ぶ機会が少なくなった子供たちにとって、生きる力を養う良い機会になり、松村代表の生きた教育を実践するボランティア活動になっていると感じました。

立上げ後は、BBQパーティ。昨日来コンビニ弁当ばかり食べてきた子供たちは「うまい!」「うまい!」を連発し、お腹が落ち着くまでの間立ちっぱなしで食べ続けていました。合間に子供たち全員による合唱や私の従弟による尺八演奏があり、参加者全員で楽しい時間を共有することが出来ました。

以上が新電話ボックス立上げの状況です。立ち上がるまでに多くの方々の支援、協力、募金等々のお陰様で更新することが出来ました。改めて心よりお礼申し上げます。有難うございました。これからも世界中のグリーフを抱えた人々の心の解放と癒しの「場」として皆様と共にあり続けると祈念しています。

ブログ報告が今日に送れましたのは、屋根の色と鼻隠しの色が濃いグリーンであり、ホワイトのボックス躯体色と余りにもコントラストが強すぎ落ち着かない感じがしましたので塗り替えをしました。また、子どもたちにビニールハウスの草取りをしてもらった後片づけをしていて遅くなりました。ブログをご覧になった関係者の皆さん是非一度新「風の電話」とご対面に来ていただきたいと思います。

「風の電話」ボックス建て替え 事前工事

「風の電話」ボックス建て替えのために、事前に準備作業があります。第一に現在のでんわボックスを移設する場所と基礎の確保です。これを地元釜石の小沢ブロックさんにボランティアで施工して頂きました。7月22日炎天下私と二人で砂利と砂をネコ車で50メートル離れたキッキの森に運び、ブロックを並べ型枠とし、その中をコンクリートで固め基礎としました。(上から2番目)

第2に現在「風の電話」ボックスのある場所に新しいアルミ製のボックスを設置するので、現物を脇に取り置き、基礎工事をしなくてはなりません。現物の取り外しを以前補修工事をした茨城県常総市のNPOピノキオクラブ松村さんにお願いし、渡辺大工さんを派遣してもらいました。7月28日渡辺大工さんと花巻市のボランティア仲間の養蜂家 滝本孝一さんがお父さん(80歳位?)と一緒に来てくれました。

第3に、取り外した現在の基礎を新しい電話ボックスに合わせ拡幅工事をしなくてはなりません。翌日29日の予定でしたがこの日は雨で中止しました。小沢ブロックさんが仕事の合間を見て行くからと云っていましたが、翌日30日、雨上がりで湿度が高く猛暑の中、朝9時30分やってきました。事前に型枠を作り、それを現基礎の上にかぶせ、メッシュ(金網)を敷きアンカーボルトで固定してコンクリートを流し込み、コーナーを面取りして丁寧に仕上げていきました。作業中に手の指が曲がらなくなったと云っていましたから熱中症の一歩手前ではなかったかと思います。その日の気温は32度でした。翌日心配になり電話をしたら、元気に仕事に行ったと奥さんから聞きホッと胸をなでおろした。

この様に、事前工事一つ取って見ても多くの皆さんの協力で成り立っています。「風の電話」ボックス新設をめぐり情報提供、募金協力、製作協力、事前準備等々。それに、どうなっているか心配してくれている数多くの人たち。多くの皆さんに支えられ「風の電話」はその役割(グリーフの寄り添いから再生)を果たしていくものと思います。

8月18日、午前10時から新「風の電話」ボックス立上げを関係者皆さんで行います。尚、立上げ完了後皆さんでBBQパーティをキッキの森で行います。多くの方の参加をお待ちしています。