風の電話のグリーフケアにある癒しとは

一般的な癒しの場合、誰かに与えられる受動的なもの(セラピー、マッサージ)です。しかし、「風の電話」による癒しは、自ら受話器を取り、語りかける能動的な行為により得られています。

現代の癒しは「誰かに癒してもらう」受動的なものになりがちです。しかし、「風の電話」は違います。自らが足を運び、受話器を取り心の対話(自問自答)をする。これは、誰かに癒してもらうのではなく、自らの力で立ち直る「能動的なプロセスであり」自らがその状況の中で、自らが持っている「自己治癒力を呼び覚まし」本来の生命力を取り戻す”気づき”による癒しであり、他から「癒される」のではなく、自らで「癒える」場所なのだと言えます。

例えば、私たちは病気や怪我をした場合、病院に行き医者の診察を受け治療や入院することになります。この場合患者は早く元の身体になり、以前の生活を取り戻したいという願望があり、医者の言うことを良く守り指示に従います。一方、大切な人を失いグリーフを抱えた場合はどうでしょうか。やはり、病気と同じように元の生活や精神状態を取り戻したいという思いを強く持ち、悲しみ苦しみから解放されたいという欲求は当然起きてくるでしょう。

しかし、現実はどうでしょうか。大半の方がたは、悲しみを抱えながらも前を向いて生きていけるでしょう。一方、その悲しみの感覚から不本意ながら抜け出すことができない人も現実にはいます。しかし、それらの方々もやがてはこのままではいけないと気が付き、何とかこの苦しみから脱しなければと思うようになるでしょう。或いは、悲しみを抱えたまま孤立しうつ状態に陥る可能性のある方もいます。

怪我や病気の場合肉体的な問題ですが、グリーフは「心が傷ついた」精神的な状態です。しかし、怪我や病気と違い手術や薬で治すことはできません。セラピスト(心理療法家)はいますが、グリーフを抱えた自分自身が一般的な病気を抱えた場合と同じように、元の自分に戻りたいという強い気持ちを持つことがより大切となります。当事者のそれをなくしてグリーフから脱け出すことは難しいと考えます。

「風の電話」は大切な人を亡くし深い悲しみの中にある方が、自分自身との心の対話によって、混乱している思考を整理します。そして、本来持っている自分の生命力を取り戻すため、自分が主体的に行動することを促していくところであり、セラピスト不在のセラピーです。つまり、グリーフを抱えた人たちが自らに自己回復力が備わっていることを信じ、自分自身で行うセラピーだと言えます。

自分自身のことは自分が一番良く知っているはずです。自分の心が現状をどのように思うかで、精神も身体も意のままに動かすことが可能だと言われています。行動も、言葉もコントロールしているのは自分の心です。「風の電話」は自分が主体的に行動しなければならないことに“気づきを得るセラピーと言えます。