「風の電話」は、世界各地にが広がり8月末時点で600箇所を超える数になっています。しかし、数多くなってきますと当然に数ではなく、中身はという質の問題に目が向くようになってきます。
設置される「風の電話」のほどんとは、当事者の喪失体験から「亡き人に再会したい、話したい、伝いきれなかった想いを伝えたい」と、もう一度「つながりたい」と言う思いからの「風の電話」設置です。従って、自分の想いだけで他者の感情まで考慮して作る必要は必ずしもなかっただろうと思われます。
しかし、それらの各地域には同じように喪失感からグリーフを抱え、それを「受け止めてくれる」ところを求める人たちが多くいるはずです。それらの人たち気持ちを考慮した「風の電話」になって欲しいと願っています。即ち、一つの電話でどれだけのグリーフ者を受け止め「癒し」を分け与えることが出来たかということになります。
要するに、喪失状況に対する人の感情は一様ではなく、「癒される」と言う感覚もそれぞれ異なっています。私たちが癒されるという感覚は、身体的な感覚器官による「見る」「聞く」「嗅ぐ」「食べる」「触れる」の五感があります。これらを体感する時に「あ~癒された」と言う気持ちになります。しかし、最も大切なことは精神的な感覚で、「心で感じられる」という事になります。
「風の電話」は見えない、聞こえないけれど「心で感じられる」という大きな特徴を持ています。
自分だけの「風の電話」でなく他者に対してもグリーフを受け止めようとするならば、身体的な感覚器官に訴える環境の整備が必要です。人は美しい自然に癒されます。草刈り一つとっても、丁寧に刈り込まれた跡を見るのは気持ちが良いものです。「風の電話」を長く継続させ、多くの方々に利用していただくには、その環境を美しいアートにするぐらいの意欲が求められます。
又、精神的な感覚である「感じるを」求めるのであれば、静かな環境が必須条件になります。訪れる人はグリーフを抱え、「誰にも会いたくない、話したくない」と心を閉ざし、孤立し、自ら何かをしょうとする状況にありません。そこから、心の扉を少し開き「風の電話」に行ってみようという「意志」を持った状態になったという認識が必要です。更に、思いきり感情を発散できるように、電話ボックスは自由と秘密が守られ、誰にも干渉されない閉ざされた空間である必要があります。
ボックス自体は、「癒しと祈りの空間」ですので自然と調和した色調が望ましいでしょう。
更に、電話ボックスの管理者には訪れた方が相談されることを前提に、ある程度のグリーフケアについての知識が求められます。
非常に難しい注文になりますが、一時的な感傷に止まらず「誰か他者のため」に役立ちたいという熱い思いがあるのでしたら「風の電話」をそれらのレベルまで向上させて下さい。そこに未来が続くでしょう。
