詩碑「暁穹への嫉妬」除幕式典のようす

前日、台風16号の影響か時折雨が降っていたので心配したが、当日は曇り日であったが降雨はなく、式典が始まる時間帯には80名ほどの人が集まり除幕の瞬間を固唾を飲んで見守った。

除幕された詩碑は高さ190cm台座を入れると230cm、幅120cm、厚さ30cm程の安山岩の自然石に直彫りされた風格のあるものだ。台座付近には、賢治さんが海岸近くを歩いている時に暁穹を見た雰囲気を表すかのように、石がごろごろと転がっている。

浜垣誠司氏による詩「暁穹への嫉妬」の朗読と解説の後、地元子供たちの「星めぐり」をヴァイオリンとチェロの演奏があり、吉里吉里鹿子踊り保存会による鹿子踊りの奉納と続き60分にわたる式典を無事終えることが出来た。

第2部は元静岡新聞主筆原田誠治氏による講演「宮沢賢治に学ぼう」があり、今の政治家は賢治さんの生き方と逆の生き方をしている人が多いと、現役の小沢一郎さんをあげ同じ岩手県人としてどこでどう間違えたのか残念でならないと話す。私は、権力やお金をいくら持っても尊敬されることはない、普遍的価値の持つ知的財産をどれだけ残すかということに尽きると理解した。

第3部は除幕式を祝う祝賀会だ「雨ニモマケズ」の詩吟あり、コスミスのライブありと素晴らしい祝賀会だった。詩碑の建立は出来上がりで終りではなく、農業に例えれば種をまいた段階です。これをこれから育て花を咲かせ実を収穫できるようにしなければなりません。


賢治さんの精神をこれから生きる子供たちに震災と共に語り継ぎ、災害を乗り越えて地域の復興に寄与する計画を進めていかなければなりません、まだまだ全国の皆さんにご協力、ご指導を宜しくお願い致します。

宮沢賢治詩碑「暁穹への嫉妬」建立除幕式典開催いたします。

9月19日午後13時30分より大槌宮沢賢治研究会主催の宮沢賢治詩碑「暁穹への嫉妬」の建立除幕式典を開催いたします。

2011年3月11日、東日本大震災で大槌町は壊滅的な被害に見舞われ、多くの貴い命を失いました。しかし、全国からの

支援に助けられ、生き残った私達には亡くなられた方々やこれから生まれてくる子供たちに対して、どのように生きるかを示す責任があります。

私たちは宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」という考えのもと「利他の精神」がその道しるべになると考えます。

今「心の復興」が声高に叫ばれていますが、「心の復興」とはどのようなことなのでしょうか?

私は大きな意味で被災地に暮らす皆さんが生きる目的、目標を取り戻すことだと考えます。

これは私たち大槌宮沢賢治研究会が活動精神の中核としている「どのように生きるか」に相通じるものがあると思っています。しかし、目に見えない精神論で人々を啓発することは難しく、それを見える形にしたのが大槌と関わりの深い薔薇輝石を詠んだ詩碑「暁穹への嫉妬」であり、2基目として建立する「旅程幻想」なのです。

これは宮沢賢治の詩碑ですが建立の精神を理解してもらえれば、亡くなられた方々にとっては慰霊の碑となり、これから生まれてくる子供たちにとっては賢治さんに触れる場を共有することになり、震災を語りつぐ記念碑になると考えます。

また、大災害を悲惨な記憶としてだけ残すのでなく、東北人の、岩手県人の魂や忍耐強さ、津波で打ちのめされたけれど地震や海と生きていくたくましさを伝え、災害を乗り越えて新たな経済と雇用を創出しなければ町が再び甦ることはあり得ないと考える。

従って、詩碑のあるイーハトーブ他市l町村と交流と連携を深め、テーマ性のある周遊ルートの開拓など、教育と文化の高い豊かな町づくり、観光による交流人口の拡大に寄与する計画を進めなければならないと考えています。

尚、2基目の「旅程幻想」の詩碑は当初大槌川河原を考えていましたが、賢治さんと子供たちの触れ合う場を共有するということを考えますと、間もなく開校する小中一貫校大槌学園の校庭或いは校門付近が適当ではと考えています。

結びになりますが、今回の詩碑「暁穹への嫉妬」建立に際しましてお力添え頂きました全国の皆様方にこの場をお借りして心より感謝申し上げます、有難うございました。

大槌ご来訪の折は是非見て頂きたいと思います。

募金をお願いします

しばらくご無沙汰していました。昨年末より体調を壊し、入退院を繰り返していましたがもう大丈夫です、元気になりました。最近は以前のように、庭の手入れに毎日汗を流しております。

近況をお知らせしますと6月6日、大槌宮沢賢治研究会は詩碑「曉穹への嫉妬」建立に向け追い込みをかけています。まず、イーハトーブ三陸海岸のテーマ性のあるツアー構築のための沿岸各市町村(北三陸)の詩碑建立関係者との交流会を持ち連携していくことを確認しております。

今後は釜石をはじめ大船渡、陸前高田までの交流会を計画しています。

7月8日、詩碑建立に当たり林風舎の宮沢和樹代表にお会いして、計画を説明し快く許諾を頂いております。7月15日には環境省大船戸渡管理保安事務所に国立公園内の詩碑設置許可願いを申請しています。このように9月19日の除幕式に向け各自頑張っている所です。

然しながら、建立資金が未だ計画に達していません、皆様にお願いになりますが、趣旨にご賛同いただけますならば募金を宜しくお願いいたします。

講演会の開催について

大槌宮沢賢治研究会の講演会を開催します。東日本大震災から5年が経過しても、大切な人を亡くした喪失感は今も大きく、まだ一歩も前に進めないでいる方もいます。賢治の「心の軌跡」をたどることが、それらの方々の意識の向け換えのキッカケになりますように。

日  時: 2016年5月4日(水・祝)14:00〜16:00
場  所: Remember HOPE 浪坂海岸ヴィレッジ
(三陸花ホテルはまぎく北側 浪坂海岸内)
主  催: 大槌宮沢賢治研究会、ベルガーディア鯨山
参加費 : 無料(予約不要)
問い合わせ: ベルガーディア鯨山 佐々木 0193-44-2544

御褒美をもらう

去る9月22日、第25回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞の受賞式が花巻市の主催でなはんプラザで行われました。

私もイーハトーブ賞奨励賞をいただきました。選考対象は21件。選考理由は、東日本大震災後、電話線のない電話ボックス「風の電話」を設置し被災した方が亡くなった親しい人と語る場所として公開した。又、2012年には、被災した児童を念頭に、石造りの私設図書館「森の図書館」を開設。そこで賢治に関連した展示や朗読も催している。

親しい人を失った人に対する心のケアや、地域の共同性の再構築を、造園、建築、芸術などを通じて行っていることは、宮沢賢治の名に置ける奨励賞にあたいする。というものでした。自分とすれば、賢治を意識したことはなく、事務局から連絡をもらったときも何かの間違いではないかと思ったほどです。

自分以外の名の方は、長年賢治の研究や作品を発表されている方々であり妥当だと思いますが、自分の場合まだこれと言ったものはなく、奨励賞は正にこれから何かをするであろうという、それを奨励する意味合いの御褒美だと思っています。

さいわいなことに大槌宮沢賢治研究会は、大震災後、生死の境を生き延びた我々は何時の時代でも、どんな状況でも無念のうちに亡くなった方々や、これから生まれてくる子ども達に対して責任があることを自覚しています。ただ、どのように生きればいいのか誰も教えてはくれません。どこからも声は聞こえてきません。しかし、我々は賢治の生き方にひとつのヒントがあると思っています。賢治の信条であった「自己犠牲」と、誰か人のためにと言う「利他の精神」です。これ等を追求していく先に「ほんとうの幸せ」があると思っています。

また、人口減少が急速に進む中で、交流人口拡大は地方に於ける数少ない課題のひとつです。単なる災害復旧でなく、復興のためには「新しい歴史の創造」が必要になってきます。

大槌の地に賢治と関わりのある詩碑を2基建立し、それを使い、賢治が1925年「異途への出発」としてイーハトーブ三陸海岸を旅した、テーマ性のある周遊ルートを沿岸市町村と協力して確立、観光開発することを計画しています。このようにこれからが受賞の真価を発揮する時ではないかと思っています。