東日本大震災から7年、愛する人を失った遺族や大切な人を亡くし喪失感を抱えた人たちの心の支えとなってきた「風の電話」が腐食倒壊の危機にさらされています。
元々屋内用で木製の電話ボックスにペンキ塗装し、屋根をかけて屋外で使用しているため無理があります。また、基礎コンクリート打設はしているものの周囲の湿地環境は木製ボックスには条件が良いとは言えません。
「風の電話」は2015年の1月に木製固定部分の腐食と強風により倒壊し、地元ボランティアの応援で再び立ち上げられました。その時は、腐食した部分を切り取り新しい材料を継ぎ足して再生したのですが、あれから3年また同じ状況が懸念されるようになってきました。
そもそも「風の電話」の構想は、街角にあったNTTの電話ボックスを見た時にガーデンオブジェとして使えたらと思ったことに端を発しており、屋外に設置するものは耐久性を考慮すればアルミ製でなければならないと考えていました。ある時、釜石のホテル前で撤去していた白い格子のアルミ製電話ボックスを譲ってくれるよう交渉したのですが、スクラップ化するということで手に入れることができなかった経緯がありました。そのような事情から木製ボックスを使っている状況になっています。
過日、英国の象徴である赤い電話ボックスが携帯電話の普及で利用者が減少し各地で撤去される中、小さなカフェや図書館などに改装して残そうとする取り組みが広がっているという記事を見ました。設置主体の英ブリティッシュ・テレコム(BT)が希望する自治体や企業に売却するサービスをしているのだそうです。これを見て日本企業との考え方、また大きな意味で、古い物でも良いものは大切に利用するという国民性の違いが表れていると感じました。ガーデンでもそうですが、日本でイングリッシュガーデンを一生懸命真似てガーデンづくりをしても、英国人の「物を大切にする」「古い物でも大事に使う」「自然の姿を尊ぶ」という精神を理解しないでつくっても、単なる真似事にしかならないのです。イングリッシュガーデンもどきにしかならないと分かります。
話がわき道にそれましたが昨今、世界中で大災害、紛争、テロ、事故により多くの人たちが犠牲になり、深い悲しみを抱えている方々も大勢いる状況にあります。大切な人を失う喪失感や悲しみは世界中の人たちに共通しています。そのような現状から「風の電話」は世界各地から共感を得て多くの人が訪れています。人の持つ感性や想像力また、電話ボックスやその場の雰囲気、音、匂いまでも含めその「場」の力が大切な人を亡くした喪失感を癒してくれるのだと思います。今なくすわけにはいきません。
しかし、電話ボックスが今、腐食倒壊の危機にあります。日本国内にもまだ、NTTのアルミ製格子造りのクラシカルな電話ボックスが残っている地域があると思います。取り外す予定或いは、取り外しまだスクラップ化されていない物がありましたなら是非譲っていただきたいと思います。ご連絡をお待ちしています。
連絡先:佐々木 格 0193-44-2544