静岡いのちの電話で心のインフラとしての「風の電話」講演会

11月4日(日)14:00~16:00静岡県もくせい会館(静岡県職員会館)にて、静岡いのちの電話主催の講演会、心のインフラとしての「風の電話」が開催されました。いのちの電話は自殺対策の一つとして、ボランティアらによって営まれているいのちの電話(日本いのちの電話連盟)が深い悩み・辛さを抱えて誰にも相談できずに自殺を考えるほどになっている人の話を聞くため電話を設けて、相談を受け付けている活動です。

いのちの電話は生きることに絶望している人たちを対象にし、片や風の電話は

大切な人を亡くし絶望している方たちに、それぞれ生きる希望を持っていただくための活動であり何か共通するところがあるのではないかと、お話しを引き受けた次第です。

風の電話によるグリーフケアは個人の持っている自然治癒力というか自己回復力を呼び覚ますセラピストのいない活動であり、グリーフを抱えた方が自ら行うセラピーです。人は人生において自分の物語を創り出し、それを生きていると考えることが出来ます。そして、最愛の人を失った時残された人の悲しみを癒すのは、人の持つ感性と想像力です。なぜなら、人間には失われたものを回復しょうとする精神の営みがあり、癒しには再開できる、再びつながれるという物語が必要となります。風の電話での自問自答は自らの物語の続きの創出であり、断ち切られた日々を一瞬でも取り戻すことになり、遺された人は物語の新たな展開を意識しなければならず、生きる力を得ることが出来るのではないでしょうか。

自殺対策は孤独対策だと言われていますが、私の風の電話で取り入れている人間の本来持っている力を活かすという、自然治癒力・自然回復力を取り入れたケアを考えた場合、孤独対策をもう一歩前に進め生き方対策が必要ではないかと考えます。生き方対策とは、要するに自分の存在のとらえ方の問題です、これを社会に出る前に訓練する必要があります。あらゆるスポーツにおいて練習なしで試合に出ることは怪我の もとであり、命にかかわる場合もあります。スポーツと同じように社会に出る場合に学校、その他での「生きるとは」「何のために生きるか」など個人の生きる使命など明らかにしておくべき必要があると考えています。そうすることにより世の中に受け入れられない状況が出来ても挫折や絶望することなく、自分の使命にチャレンジできるのではないだろうか。また、人間は自然の中で進化してきました。緑に触れることで災害、事故等で傷ついた心を開放し、癒されることは科学的にも立証されています。ドイツ発祥と言われるクラインガルテン、ロシアのダーチャ等、空き地を利用した市民農園を通じたコミニケションの場を活用した孤独対策が望まれます。それらの対策後の最後の砦として、いのちの電話活動で誰も自殺で命を失わせないという活動が望まれるのでは。という話をしています。

2枚目の写真は、岐阜県自死遺族の会「千の風の会」のカメラマン三浦氏と一緒に。